
航空、宇宙及び防衛分野の組織に対する品質マネジメントシステムの要求事項を規定したJIS Q 9100規格は、品質マネジメントシステムの国際規格であるISO 9001に、航空宇宙製品の機能・性能及び安全性確保などに関する航空宇宙業界特有の要求事項を追加したものである。9100規格は航空宇宙ビジネスのデファクトスタンダードと言われている。2019年6月現在で、国内のJIS Q 9100取得企業は約800社である(OASISデータベースより)。
JIS Q 9100取得のメリットとしては次のようなものが挙げられる。
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国際的なマーケットチャンスを獲得するために活用されている世界共通データベース(IAQG-OASIS)に登録される
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客先発注の取引条件として掲げる企業が増加しているので、新規に航空宇宙業界に参入することができる
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品質マネジメントシステムに関する顧客監査(第2者監査)が簡略化されるケース多い
一般財団法人日本航空機開発協会の世界における民間ジェット旅客機の需要予測によると、ジェット旅客機の運航機数は、2018 年末の23,904 機から2038 年末には40,301 機に増加する。今後20 年間の新規納入機数は35,312 機で、販売額は5.53 兆ドル(2018年カタログ価格)となる。新規納入機数が最も多いのは、120-169 席クラスの12,576機である。地域的には、欧州(22%)、中国(20%)、北米(19%)が多く、この三者で世界の61%を占める。また、アジア/太平洋地域としては14,384 機(41%)となっている。
こうした動きに伴い、OWOはJIS Q 9100やNadcapの取得へのアシストを含めて、主に川崎重工OBによる企業シーズ調査やマッチングを行ってきた。最終的には個々の判断で重工OBと直接契約するなど参入の方法に関するノウハウを蓄積している。
今後は、各企業内の機能拡充や、OWO企業グループの形成等を通じて、製造技術及び品質保証の能力を高めることで、一貫生産体制の構築を目指すことが求められている。